Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
お庄はもう半分、ここにいる気がしなかった。
下宿へ入って行くと、下の方には誰もいなかったが、見馴れぬ女中が、台所の方から顔を出して胡散そうにお庄を眺めた。そこらはもう薄暗くなっていた。
母親は二階の空間で、物干しから取り込んだ蒲団の始末をしていた。窓際に差し出ている碧桐の葉が黄色く蝕んで、庭続きの崖の方の木立ちに蜩が啼いていた。そこらが古くさく汚く見えた。お庄は自分の古巣へ落ち着いたような心持で、低い窓に腰かけていた。
「阿母さん、私お茶屋などへ行っちゃいけなくて。」お庄は訊いた。
母親は畳んでいた重い四布蒲団をそこへ積みあげると、こッちを振り顧って、以前より一層肉のついたお庄の顔を眺めた。
「お茶屋ってどんなとこだか知らないが、堅気のものはまアあんまり行くところじゃあるまい。」
「ちゃんとした家なら、行ったっていいじゃないの。」
「さア、どんなものだかね、私らには一向解りもしないけれど……どこかそんなところでもあるだか。」母親は立っていながら言った。
お庄はこの母親に言って聞かせても解らないような気がしてもどかしかった。
「お前そうして、そこへ行くと言うだかい。