Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
笹村は自分の力を買い被られていることも、苦しかった。老い先の短い田舎の母親、自分の事業、子供のことも考えなければならなかった。
「僕が今、金で衆をどうするというわけに行かんことはお前も知っていてくれなけア困る。」
笹村は衆の前で時々お銀に言った。
「ええ、それどこじゃありませんとも。」
お銀も言ったが、笹村はやはり不安でならなかった。目に見えぬ侵蝕の力が、とても防ぎきれないように考えられた。
「子供一人を取って別れるよりほかない。そして母と妹とを呼び寄せて、累いのない静かな家庭の空気に頭を涵しでもしなければ……。」
笹村は時々そういう方へ気が嚮いて行った。物欲の盛んな今までの盲動的生活に堪えられないような気もした。虚弱な自分の体質や、消極的な性情が当然そうなって行かなければならぬようにも考えられた。
十日ばかりの男世帯で、家のなかが何となく荒れていた。お銀は上って来ると、めずらしそうにわが家を見廻したが、目には不安の色があった。
「お前に帰って来てもらわないつもりなんだがね。」笹村は侵入者を拒むような調子で言った。
「でも私だって自家が気にかかりますから……。