Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
東京風の女中の様子も、そんなにぞべぞべしてはいなかった。
「ここの家では何ができるんだね。」と、笹村は餉台の上におかれた板を取りあげながら、身装のこざっぱりした二十四、五の女中に訊ねた。世帯くずしらしいその女中は、どこかに苦労人のようなところのある女であった。
「どうせこんなところですから、おいしいものは出来ませんけれど……さあ何がいいんでしょうね。」と、相手の柄を見て、自分で取り計らおうとするような風を見せた。
「なにかといっても種がありませんものですからね。それよりか鶏がいいじゃありませんか。お寒いから……。」
笹村は何も食べたくはなかった。ただこの女の口からこの家のことを探りたいばかりであった。
「ねえ、そうなさい。」
頭から爪先まで少しも厭味のないその女は、痩せた淋しい顔をして、なにかとこまこました話をしながら、鍋に脂肪を布いたり、杯洗でコップを手際よく滌いだりした。
「ここの子息さんはどうしたい。まだ入牢っているのかい。」
笹村は行けもせぬビールを飲みながら、軽い調子でそんなことを訊き出した。
「え、まだ……。」
女は驚きもしなかった。そのころの家の馴染みと思っているらしかった。