Japanische Klassiker mit Furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lesen Sie 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) von 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 346.393 Zeichen · 692 Bildschirme
婿にあたる男は、以前東京にもしばらく出ていたことがあった。妙に紛糾った親類筋をたどってみると、その家とお今の家との、遠縁続きになっていることや、その製糸工場の有望なことや、男が評判の堅人だということなどが、兄の心を根柢から動かしたらしかった。
東京の生活の面白みに、やっと目ざめて来たお今の柔かい胸に、兄の持ち込んで来た縁談が、押石のように重くかかって来た。日々に接しているお増夫婦のほしいままな生活すらが、美しい濛靄か何ぞのような雰囲気のなかに、お今の心を涵しはじめるのであった。
「兄さん、私どうしたらいいんでしょう。」
お今に長いその手紙を出して見せられた時、兄の言い条の理解のないことが、浅井に腹立たしく思えた。
お今が、田舎へ呼び戻されることに、同意しているらしいお増が、ちょうど子供をつれて、行きつけの小林の妾宅へ遊びに行っていた。
「どうといっても、私が喙を出す限りでもないが……。」
浅井もお今のために、安全な道を選ばないわけに行かなかった。
「しかしお今ちゃんはどう思うね。」
浅井は手紙を捲き収めながら、お今の顔を眺めていた。
「わたし?」お今は甘えるような目色をして、「私東京がいいんですの。