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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

女はその方へ歩いて往って門の扉に手をやると扉は音もなしに開いた。女はそうして扉を開けてから揮り返って、男の来るのを待つようにした。

讓は入って往った。女は扉を支えるようにして身をかた寄せた。讓は女の体と擦れ合うようにして内へはいった。と、女は後から跟いて来た。扉は女の後でまた音もなく締った。

「しつれいしました」

薄月が射したようになっていた。讓は眼が覚めたように四辺を見まわした。庭には天鵞絨を敷いたような青あおした草が生えて、玄関口と思われる障子に燈の点いた方には、凌霄の花のような金茶色の花が一めんに垂れさがった木が一本立っていた。その花の香であろう甘い毒どくしい香が鼻に滲みた。

「ここは姉の家ですよ、何にも遠慮はいらないのですよ」

讓は上へあげられたりしては困ると思った。

「僕はここにおりますから、お入りなさい、あなたがお入りになったら、すぐ帰りますから」

「まあ、ちょっと姉に会ってください、お手間はとらせませんから」

「すこし、僕は用事がありますから」

「でも、ちょっとならよろしゅうございましょう」

女はそう云って玄関の方へ歩いて往って、花のさがっている木の傍をよけるようにして往った。