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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

藤枝は門の懸金をかけ、飛びだしたままで開け放してあった玄関の障子を締めて、刀を脱りながら次の室へ往った。な女が行燈の前で胡坐をかいて、傍に飯櫃を引き寄せて飯を喫っていた。藤枝は驚いて眼をった。

「何者だッ」

女は茶碗を置いて藤枝の顔を見た。

「無断に人の家へあがり込んで、飯まで喫うとは、言語道断な奴だ」

藤枝は刀の柄に手をかけた。女は居住居をなおして両手を突いた。

「誠に申しわけがございません、私は故あって旅をしておるものでございますが、旅籠に往こうにも金はなし、お邸にあがって御飯をお願いいたしますつもりで、あがりましたところが、何人様もお留守のようでございましたから、悪いことは知りながら、空腹くてもう一足も歩けないものでございますから、ついこんなことをいたしました、どうか御見逃しを願います」

顔から詞の云いようまで別に悪人とは思えなかった。藤枝は誡めたうえで許してやろうと思った。と、女はすうと起って背後の戸棚の前へ往った。藤枝はきっと女の方を見た。女の姿は煙のように戸棚の前で消えた。

「うぬ、板女、板女ッ」

藤枝は刀をきらりと抜いて戸棚の前で揮ったが、なんの手答えもなかった。