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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

平吉は主婦のすることが判らなかった。平吉は傍の長櫃の上に重ねた蒲団の一枚を執った。お高は渋紙包を持って起ち、それを傍の具足櫃の上へおいた。平吉はそこで蒲団の萌黄の裏を上にして胡蓙の上へ敷いた。お高はその上へすぐ坐った。

「佳い匂じゃないの」

「へえ」

「汝もお坐りよ」

「へい」

平吉はその横手に蹲んだ。

「どう、こたえられない匂じゃないの、私ゃ、この匂を嗅ぐと気が壮くなるよ」

「好奇だ」

「好奇かも判らんが、私は好きさ、佳い匂じゃないの、この匂を嗅いでると、人が恋しくなるよ」

「へえ」

「そうだった、汝に見せてやるものがあったね、それでは見せてあげるから、わたしを伴れてっておくれよ」

伴れて往けとは道の悪い遠い処であろうか。

「どこです」

「どこでもいいから、私を負っておくれよ」

平吉はさすがに眼を見はった。

「そんな、へんな顔をするものじゃないよ」

「へい」

「負っておくれよ」

「へい」

平吉は主婦の前へ往った。

「あっち向くのだよ、こっち向いてちゃ、負われないじゃないの」

「へい」

平吉は主婦に背を向けて中腰になった。お高の体がそれに重んもりと負ぶさった。

「重い」

「なあに」