Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
コップを持った婢はコップの血をすかすようにして云った。老婆も上からそれを覗き込んだ。
「どれ、どれ、ああ、そうだね、それくらいありゃ好いだろう」
老婆は蟇を脚下に投げ捨ててコップを受け執った。
「この薬を飲んで利かなけりゃ、もうしかたがない、皆でいびってから、餌にしましょうよ、ひっ、ひっ、ひっ」
老婆は歯の抜けた歯茎を見せながらコップを持って少年の傍へ往って、隻手の指端をその口の中へさし入れ、軽がると口をすこし開かしてコップの血を注ぎ込んだ。少年は大きな吐息をした。
讓は奇怪な奥底の知れない恐怖にたえられなかった。彼はどうかして逃げ出そうと窓を離れて暗い中を反対の方へ歩いた。そこには依然として冷たい壁があった。しかし、戸も開けずに廊下から続いていた室であるから、出口のないことはないと思った。彼は壁を探り探り左の方へ歩いて往った。と、壁が切れて穴のような処があった。讓は今通って来た処だと思ってそこを出た。
ぼんやりした微白い光が射して、その前に広い庭が見えた。讓は喜んだ。玄関口でなくとも外へさえ出れば、帰られないことはないと思った。そこには庭へおりる二三段になった階段がついていた。