Japanische Klassiker mit Furigana
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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme
「そいつはありがたい」
真澄はそれから女を対手にして飲んでいたが、何時の間にか睡ってしまって、朝早く眼を覚ましてみると、いっしょに寝たはずの女もいなければ、正宗の罎も膳もなにもなかった。ただ台所から貰って来た二本の銚子と皿だけが机の上に乗っていた。暢気な真澄は昨夜は変な夢ばかり見たものだと思った。
その夜は客がなかったので酒にありつけなかった。真澄は台所をうろうろして隙があったら樽の口をひねろうと思って隙を見ていたが、婢と叔母の眼が始終あったのでしかたなしに諦めて寝たが、睡っているとまた肩を揺って起す者がある。
「お起きなさいよ、お起きなさいよ」
真澄が眼を開けてみると昨夜の女が来て坐っていた。
「今晩もお酒を持って来ましたよ」
「酒、そいつはありがたいな」
真澄は起きて枕頭に坐った。やはり昨夜のような膳へ四合罎と三皿ぐらいの肴を添えてあった。
「おあがりなさいよ、お酌いたしましょう」
真澄は女に酌をして貰ってその酒を飲んでいい気もちになって寝たが、朝になってみると女もいなければ膳も正宗の罎もなかった。真澄はまた夢を見たものだと思った。
女はその晩もまたやって来て真澄に酒を飲ましたが、朝になって見ると同じように女も酒の器もなかった。