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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

登はふとこの家は茶店を止めてても、酒ぐらいは置いてあって、知己の書生などには酒を飲ましているらしいなと思った。彼はすぐ己の懐のことを考えてみた。懐にはまだ前夜の使い残りがすこしあった。

「そうですか、じゃすこし休まして戴きましょうか」

「さあ、どうぞ」

女が起ちあがった。登は手拭で足をはたきながらあがったが、帽子のことを思いだしたので蹲んで持った。

「汚いのですけれど」

女は歩いて往って見附の障子を開けた。左側に小さな小縁が見えてそこに六畳ぐらいの室があった。右側は台所になって、その口の処に一枚の障子があった。

「ここですよ」

「すみませんね」

登は女の後から往ってその縁側へ出、障子を開け放してある室へ往った。庭の前は青あおとした木の枝が重っていて、それに夕陽が明るく射していた。

「今お茶を持ってあがります」

女は小縁を伝って引返して往った。登は庭の方を向いて坐りながら、その女と前夜知った女の顔がいっしょになったように思った。

(そうだ、昨夜の女に似ている、だから、見たように思ったんだ)

女が茶碗を盆に乗せて持って来ていた。

「そんなにかしこまらないで、横におなりなさいましよ、何人も来る人はありませんから」