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Japanische Klassiker mit Furigana

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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

Lesen Sie 日本怪談大全 第一巻 女怪の館 (がまのち) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 192.678 Zeichen · 394 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はうっとりとなって考え込んでいた。

「こんな酒ですよ、召しあがれますか、どうだか」

登は夢から覚めたような気もちで眼をやった。女が小さなコップに半分ぐらい入れた微赤い液体を盆に乗せて持って来ていた。女は膝を流して坐っていた。

「や、これはすみません」

「なんだか辛いお酒だって云うのですよ」

「そうですか、戴きましょう」

登は茶の盆をすこし左の方に押しやってから、コップの乗った盆を引き寄せ、それを持ってすこし舌の端に乗せてみた。それは麝香のような香のある強烈な酒であった。

「なるほど、きつい酒ですな、しかし、旨いのですな」

登はこう云って一口飲んだ。彼の眼には黒い女の眼が見えていた。やがて登は、月の光のような微暗い燈の点いた室で女と寝そべって話している己に気が注いた。彼の手には女の手が絡っていた。彼はまた酒のことを思いだした。

「もうさっきの酒はないのですね」

「お酒、すこしならあるのですよ、まだおあがりになって」

女の白い顔が覗くようにした。

「すこし酒が醒たようだ、あるならもうすこし飲みたいのですな」

「持って来ましょうか」

「持って来てください」

女は登の手にやっていた己の手を除けて静かに起きながら、コップの盆を持って出て往った。