Japanische Klassiker mit Furigana
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きょくばだんの「トッテンカン」
曲馬団の「トッテンカン」
下村 千秋
Lesen Sie 曲馬団の「トッテンカン」 (きょくばだんの「トッテンカン」) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 16.620 Zeichen · 34 Bildschirme
六
あの曲馬団が今の自分の幸福をみんな持って行ってしまうような気がするのです。
とうとう新吉は、曲馬団のあとを追って走り出しました。曲馬団といっしょにいたい、と思うきり、外のことは何一つ考えられなかったのです。顔も手も足も、まるでインド人の子のようにまっ黒けの鍛冶屋の新吉が、幸福そうな目をかがやかせながら、あかりのつきはじめた町をひとり遠ざかって行くすがたは、まったくただごとではありませんでしたが、町ではこれをだれ一人知るものもありませんでした。
六
新吉は、曲馬団の荷物をつんだ馬車に追いつくと、うしろからこっそりと馬車のすみっこへ乗っかりました。
空には星が光りはじめました。その星空をぼんやりと眺めながら新吉は、曲馬団の仲間に加わってからのことをいろいろと想像しました。その想像はみんな、はなやかな、幸福なことばかりでした。
すっかり夜になってから、曲馬団の一行は停車場へつきました。
「なんと言って頼んだら、仲間に入れてもらえるだろうな。」
新吉はそれを考えていました。するとそこへひょっこりと、赤いメリンスの着物をきた少女があらわれました。馬乗りの少女ですが、着物をきているので、ふつうの町の少女のように見えました。