Japanische Klassiker mit Furigana
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きょくばだんの「トッテンカン」
曲馬団の「トッテンカン」
下村 千秋
Lesen Sie 曲馬団の「トッテンカン」 (きょくばだんの「トッテンカン」) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 16.620 Zeichen · 34 Bildschirme
十二
せかっこうも、新吉はきえちゃんによく似ていたのです。
「それなら大丈夫。でも、口をきいちゃ駄目だよ。」とわか姉さんは注意しました。
「なぁに、掛け声ぐらい、きえちゃんそっくりの声を出して見せるよ。」
新吉はそう言って笑いました。
十二
それは夜の八時頃でした。場内は見物人でいっぱいでした。四方が山に囲まれた甲府の町のことですから、九月になるともう山颪しの秋風が立ち、大きなテントの屋根は、ばさりばさりと風にあおられていました。
楽隊がにぎやかに鳴り出しました。と、きえちゃんに扮した新吉が、まず垂れ幕のかげから現れました。それから、胸に金銀の星の輝く服を着たわか姉さんが現れました。つづいて大象のファットマンが、のそりのそりとまかり出ました。見物席からはあらしのような拍手が起こりました。三人は一列に並んで見物席へあいさつをしました。
やがてわか姉さんが、ファットマンの鼻の上に乗ってひらりとその背へ飛び上がりました。そして長い竹棒を受け取りました。つづいて新吉がファットマンの鼻へ乗ろうとすると、ファットマンはちょっと鼻を巻きこんで、しばらく新吉の顔を見ていました。