Japanische Klassiker mit Furigana
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きょくばだんの「トッテンカン」
曲馬団の「トッテンカン」
下村 千秋
Lesen Sie 曲馬団の「トッテンカン」 (きょくばだんの「トッテンカン」) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 16.620 Zeichen · 34 Bildschirme
象は、長い鼻の先でフウフウと息をしながら、新吉の頭や肩へさわってみました。新吉は生きた心地がしません。けれど象はそれっきりおとなしくなりました。
「おや、ここに人間の子が寝ているぞ、かわいそうに。」
象はそう思ったのかも知れません。そのうちに新吉はそのままぐっすりと寝こんでしまったのです。
「こら小僧。」
大きな声がしたので、新吉はびっくりして目をさますと、目の前に、洋服を着た大きな男が、目をぎろぎろ光らせながら立っていました。これが曲馬団の団長でした。いつの間にか夜が明け、いつの間にか貨車は東京の北端れの町の停車場へついていたのです。象はもう貨車から下ろされていました。
「おい小僧。」
団長はもう一度そう言って、
「てめえ曲馬団の仲間へ入れてやろうか。」とやさしい顔をしました。
「おじさん、ほんとに入れてくれる?」
新吉は元気よく立ち上がって、そうききかえしました。
「ああ。おとなしくいうことをきいて、そして一生けんめいに働けば、入れてやってもいいよ。」
「僕、一生けんめい働くよ。何でもするよ。」
「よしよし、いい子だ。」
団長はにこにこして、新吉の頭をなでました。