Japanische Klassiker mit Furigana
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きょくばだんの「トッテンカン」
曲馬団の「トッテンカン」
下村 千秋
Lesen Sie 曲馬団の「トッテンカン」 (きょくばだんの「トッテンカン」) von 下村 千秋 (しもむらちあき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 16.620 Zeichen · 34 Bildschirme
そのうち店の前を、三人五人と、楽隊の音に吸われるようにして、急いで行く人たちが通りはじめました。兄弟同士が手をつないで走って行く子供たちもありました。それを見ると新吉は今の自分の身の上が急に悲しくなりました。
新吉は、両親がなく、たった一人の姉さんは東京のおじさんの家へ奉公に行ってしまい、自分は小学校へ二年ほどかよったきりで、この鍛冶屋の丁稚になってしまったのです。兄弟で曲馬を見に行くなどはおろか、一人ぽっちでも見に行ける身の上ではないのです。新吉は、三日に一度、町の風呂へ行くとき、おかみさんから一銭銅貨を三つだけうけ取るきり、お小使銭としては、ただの一銭ももらえない約束になっているのです。
「せめて、曲馬の外まわりだけでも見てこよう。」
新吉はわずかにそれだけで、がまんしようと思いました。
仕事がしまいになると、新吉はいそいで仕事場をかたづけ、大いそぎで冷やめしをかっこみはじめました。と、毎晩寝つきのわるい赤ん坊が、いつものとおりぎゃんぎゃん泣き出しました。
「新吉、いつまでめしを食ってるんだえ。さっさとお守りをしな。」
おかみさんがかん高い声でどなりました。