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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

足忠実に、今日も馬春堂の家へ立ち寄った率八が、こう言って不審がると、訊かれた方は、至って当然のように、

「この娘は、蝙蝠のように、夕方になると起きて出る。まったく、夜遊びの好きな性分でな」

「へえ、家にいる親分と、よく似ていますね」

「お前の家にも、誰か居るのか」

「え……」と率八は、あわてて口をつぐみましたが、

「なに居候のこってすよ」

「だって今、親分と言ったではないか。この間うちから、わしも少し腑に落ちないと考えているのだが、率八、お前は日本左衛門を匿っているな」

馬春堂が睨みつけて言うと、果たして、率八の顔色が変って来ました。

「じゃ先生には、もうそいつが分っているんで……」

「分らないでどうするものか。わしも梅花堂流の易者だよ、それくらいなことは、とうに心のうちで卦を立てて観抜いている」

「じゃあ先生にだけ話しますけれど、極内にしていておくんなさいね」

「誰がそんな事をツベコベと喋舌るものか。居るんだろう?」

「へい、実は師走の中頃から、あっしの家に隠れていますが、その親分もお蝶さんと同じように、毎晩家を外にしちゃ、昼になると寝ているんです」

「そりゃあ何も不思議はないさ、盗人の昼寝というやつ、毎晩稼ぎに出かけるのだろう」