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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

それに、あなたという人があれば、一層私は気を強くして、少しでも永くこの世に居てみたいと思います」

そう言いながら二人共に、何となく、寸前の運命に儚い予感を持ち合っているらしく、酒にも深く酔えませんでしたが、思慕の情はかえって濃密な気持を双方に起こさせました。

「おう、暮れて来た」

日本左衛門はふと切窓の夕星を見て、何かにわかに気を急かれて来たらしく、

「夜になると、出かけなければならない用事があるんだが……お蝶、また折を見て訪ねて来てくれ」

今日の首尾を惜しみながら、お蝶も夜になると切支丹屋敷にいるヨハンの姿が目に見えて来て、じっと落着いていられない気持に急かれて来るのでした。

「じゃ、またそのうちに」

と眼で誓って、彼女が先に男のそばを立った時です。――慌ただしい率八の跫音が、どどどどッと来て納屋の外へ衝かったかと思いますと、

「親分ッ、手が廻った!」

と廂に火のついたような彼の絶叫であります。

さてはと、さすがに胸をギクとさせて、男女が顔を見合わせたまま佇立んでいますと、途端に、そこの戸を開けた率八が、

「親分、今のうちです、早く舟の方へ」

と顔色もなく、舌をふるわせて急き立てました。