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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

講書の間で、吉宗と白石と会う。

これが初めての賜謁で、初めての別謁です。

吉宗は紀州の屋敷元にいた時代からこの老儒があまり好きでなかったので、今官を去る彼にも何の愛惜はありません。二つ三つ雑話の後、彼はふと、

「時に君美、そちならば存じているかとも思われるが、当江戸城の内に於いて、異国人で誅殺された者の例があるであろうか」

「君美御奉公中には心得ませぬが」

「いや、近い世の事でなくともよい。大猷院殿時代、或いは、台徳院殿の治世、また神君御開府の当時にでも……」

「宗門役の御制度、切支丹屋敷の御設置などが開かれました後ならば知らず、柳営御創始当時には、左様な例もないとは限るまいかと存じられます」

「ひとつ調べてくれぬか。奉公じまいじゃ」

「数日の御猶予を願わしく存じまする」

「急がいでもよい」

「取調べました後、文書をもって取次衆まで差出しておきます」

「いや、公の書態では、老中どもが見まいとも限らぬ。小姓組松平源次郎宛取次をもって、よこしてくれい」

「かしこまりました」

「もはや登城の折もあるまい。余生安楽に暮らすがよいぞ」

「洪恩の大、老生が世を退きました後も、忘れは仕りませぬ」