Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「ウム、今のところでは、殆ど何らの得るところもない」
「金吾が愚考いたしますには、恐らくこれは、徒労に終るのではないかと存ぜられますので」
「なぜじゃ」
と万太郎は少し色を作す。
「いや、さりとて決して、千蛾老人の遺言が偽りであると申す次第ではなく、事実、慶長の昔、ピオがこの城内に刑罰をうけて、その亡骸もこの吹上の、奥に埋め隠されたものとしても、さる異国人の亡骸を埋めたあとに、墓碑とか御堂などの、印を遺して置くまいと考えまする」
「だから、どうせいと申すのか」
彼の一念を翻すような言葉は、いつでも彼の不機嫌を誘うものである、とは金吾も知りぬいておりましたが、
「将軍家の御不審を求め、またまた、御本家へ迷惑を及ぼさぬうちに、御断念なされた方が賢明ではないかと心得まする」
と、ツイ諌言を試みました。
案の如く、万太郎は取ッてもつけない頭を振って、
「金吾、そちは精が切れたとみえる。嫌なら去れ、わしは突き止めるまでここを去らぬ」
「精が切れたとは、お憎いおことば、左様な金吾ではござりませぬ」
「ならば、なぜ左様なことを言い出して、わしの捜索に励みをつけぬか」
「もしや将軍家の御不審もやあると、ただ、尾州家のおん為に、それのみを惧れます」