Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
まさか――と疑いたい程ですが夜目に透かして見たなどというあいまいな話ではなく、彼をねじ伏せ、馬乗りに跨って、その覆面までめくり返して見た上の事ですから、いくら瞬間の場合とはいえ見違うなどというはずもありますまい。
「すると先頃から、嵐山の裾、赤壁の水辺などで、時折出会った怪しい者は、将軍家とその侍臣であったのでございましょうか」
「どうも、そうであったと見える」
「しかし……」と、金吾は少し小首をかしげて、
「拙者の組み伏せた男の方は、どうもいつもの男とはやや違う気がいたしまする」
「どう違うというか」
「第一肩幅、体のこなし、そしてつかんだ腕のもろくもねじ得た事などが、あのウワ背丈がある敏活な曲者とは、まるで手ごたえが相違しております」
「すると、初めの覆面の男とは、別人であると申すのじゃな、だが待てよ……そういたすと、吹上の深夜に、暗をさぐる者達は、わしとそちと、あと、幾人おるか分らぬ事になるではないか」
「まさか、そう幾名もおるわけはございませぬが、とにかく、別人には相違ござらぬ」と金吾は、それだけを断定しましたが、何としても胸づまりなのは、将軍家へ対しての失策です。