Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「ちッ、ちッ、ちッ、畜生――ッ」

滅多やたらに空を切って、もがきながらのグルグル廻り、ただ事ではないがとよく見ると、その脇腹にうしろから組み付いている白い人の手と月形の懐剣!

虚空をつかむ源六の苦しみは、その脇腹から黒血を噴かせて、見るまに橋板に紅葉を散らし、なおピッタリとからんで離れぬ人影を振り放そうとして、狂乱の形相凄く、体に火でも燃えついたように、グルグルグルグル猛り廻ってやみません。

唇を噛み、黒髪を乱し、かれの背後から組みついているのは混血児のお蝶。

脇の下から白い腕を廻して、源六の肉体に懐剣を与えているのはかの女の手でした。

物狂わしく源六が橋板の上でグルグル廻ると、かの女の体も同体に振り飛ばされんばかりに巡り廻る。ちょうど、それは一箇の独楽に赤い小布れが取ッ付いているよう――

かんざしが飛ぶ、花櫛が落ちる。帯の間から鏡が抜ける。

それでもお蝶は離れませぬ。

「うう――む。……だッ、騙しゃアがったな」

言ったかと見ると源六は、もがき疲れて、お蝶の腕にグンニャリと重くなります……、それをお蝶は突き飛ばすように仆して、自分も一緒によろめきながら、