Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「頼みます」
「まあ、あるきねえ」
「だッて、あなたについて来られちゃ、私、なお困るんですもの……助けると思って。ネ、お願いですから」
「そんなに困るなら、番屋へでも奉行所へでも飛びこんだらよかろう」
「そうすれば、なおさら私の自滅ですもの」
袂を顔へ持って行って、肩をふるわせたまま、固くなって動かない。
よくよく窮して、ついに泣きだしたものでしょうか。やはり女は女、最後はいつも涙であります。
だが、猶予ならないのは、ぐずぐずしている間に、坂下から足拍子をとって近づいてきた数点の提灯! しかも、異様奇妙な行列なンです。
カッと炎をこがす一団の火焔行列とも見えました。
見事な紅葉の枝をゆッさりと上にのせて金鋲青漆の女駕、供人は紅白ちりめんの裲襠、いずれも、御守殿風な女ぞろいで、これまた、手に手に紅葉の枝を持っているので、前後を照らす明りをうけた盛観は、むしろ夜行の鬼女の群がりかとも凄かったのです。
しかし、その近づくのを見て、日本左衛門が驚いたのは、その夜中横行の異風でなく、まッ先に立った仲間の手にある、六ツ葵の提灯の印。
紫頭巾が泣きじゃくッているのが幸いでした。