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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

その下へ向って真ッ逆さまに、サッと投げられた龕燈の明りを、三ツの首が、ためつすがめつして、

「おい! 生きているのか」

と突然、大きな声で呼びかけて行く。

声はガア――ンと穴室にひびいて、不気味にいつまでも消えませんでしたが、それに澄ます神経の下では何の沙汰もない。

「はて?」

ひとりが小首を傾げると、

「返辞がないじゃないか」

「まいッてしまったかな?」

「いや、死ぬはずはない。底の土はやわらかいし、下には水も少したまっているから、一時気絶したにしろ、もう息を吹ッ返していなけりゃならない」

「そういえば今まで、各所の石神堂にある銭瓶の穴で死んだものは一人もないな」

「そうとも、死んでしまわれたのじゃ、こちら様の御用に立たない事になる。どれ、脅えているのかも知れないから、一ツ、地獄に仏のお救いと有難がらせてやろう」

小声にささやいていたのを、また怒鳴るような大声に変えて、

「これこれ、下に落ちている旅の者、息はないのか! 息は!」

「オオ、うなっている」

「しっ……」と手で制して、

「これ、どうした」

上から射す明りを見上げて、ウームと下で呻いていたのは馬春堂。――打ち所のいい悪いなどはとにかく、何しろ、夜の明ける前から、ふッと正気づいて、さんざんもがき疲れた揚句、わずかに、したたる水を吸って、飢えと恐怖にふるえていました