Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「その羅馬の故郷を、わしだとて、決して忘れている訳ではない」

ジッと何か案じていた二官は、やがて何か決意に燃えるひとみを上げて、

「この二官が、恥をしのんでこうしているのは、まったく、王家のためにどうかして、あの夜光の短刀を、尋ねあてたいばかりなのだ」

「うまいことをいう」

ヨハンは一笑に付して取り合いもしません。

「いや、わしは恥じない、信じてくれ」

「ふん……人を欺くにも程がある。羅馬からこの国へ、夜光の短刀を探しに派遣されたばてれんは、もう百年も前から、数知れないほどあるが、みな敢なく日本の土になっている。すでに、このヨハンも、その使命をうけて来た一人なのだ。だが、二官の如く、その使命をつくすどころか、信奉はころび、その上に、この国の女と子までなして、髪風俗まで変えてしまった恥知らずは一人もなかった」

「形の上では言い訳がない。しかし、元々雲をつかむような夜光の短刀、とてもあれは、自分一代で探し出せないことは分り過ぎている」

「それじゃ何もならないわけだ」

「イヤ、自分の一代で探せなかったら、次の時代へ自分の血をつないで探させる。それには子を育てるよりほかに方法がない」