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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

そこには、どこからか持って来た筵が一枚敷いてある。

「――おれもずいぶん根気がよかッた。それでも二官のやつめ、夜光の短刀のやの字もおくびに出さねえから、そろそろ根気もつきかけていたンだが、今日はとうとうヨハンのやつと啀み合って、聞く者があるとも知らず、すっかり泥を吐いてしまったから面白い」

ゴロリと寝そべって、手まくらをかいながら、

「さあ……これで二官の腹も読めたし、ヨハンのやつの心底もおよそ見当がついてきたが、さて」

と、そこで将来の方針という辺へ、しきりに思案をめぐらしている顔つき。

まるで、えたいの知れなかった暗中模索に、だんだん目鼻がついてきたような気がする。それは伊兵衛に、巨富の夢をみさせます。――目をつぶッて考えていると、この世のどこかにかくされている夜光のさんらんとした刀の相が、ありありと目にうかんで来るほどです。

「ベッ……」

突然、伊兵衛は顔をなで廻している。巨富一掴の夢がさめて、顔へ落ちた穢い埃を払ったところは、あまりいい図ではありません。

上では、いつになく二官の荒い声と足音につれて、お蝶の泣くような声が聞こえだしていたので、

「ええ、耳がかゆいぞ、こりゃまた何か、いいことを聞く前兆かも知れねえ」