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Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「まさか? ……」

と、つぶやきました。

かれの如き人間の推測でも、お蝶が現在の親を殺して逃げたとは考えられないことであります。

わたしは若い、十九やそこら。

十九やそこらで私は死にたくない。どんな思いをしても生きのびていたい!

――お蝶の生の執着は、今、なにもかも忘れて家から迷いだしたのであります。

逃げる気でしょう。

この山屋敷をのがれて、どこかに新しい生き場所を求めるつもりらしいが、ふだんの才智なら、化粧をととのえて、表門からぬけ出すでしょうに、ここへ来て、うろうろと高い塀を見あげているさまを見ると、さすがに彼女も、父の血を浴びたせつな、心を取乱してしまったとみえます。

「お蝶さん、どこへ行く?」

すると、どこかで咎めるものがありました。

「また今時分、どこへ出て行こうとするつもりか」

「ヨハン」

きっと、榎の下を振顧って、お蝶はしばらく立ち竦みましたが、さっき父のいったことばが思い出されると共に、

「ヨハン!」

むらむらとして、石牢の前へ馳けよりました。

「おお、どうしたのか、そんな姿をして」

「あの」

赤いくちびるを鉄の格子につけて、

「あのね」

「ム」