Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
書き終えた巻紙を、くるくると封じてやっと筆をおいてから、ニッコリした顔が小間使いのおりんを見る。
「はい、すみました」
「もうだめですわ、お嬢様。とッくに下町の方へ行ってしまいましたもの」
「そら、やっぱり、私をだましたのじゃないの」
「いいえ、嘘ではございません」
「じゃ、何があったの」
「孔雀の檻」
「孔雀?」
「ええ、ゆうべ湯番も話していました。上方の方から来た孔雀の見世物が、あしたは船で黒磯へ上がるから、小屋へかからないうちに見てしまえば、その方が木戸銭がいらないなんて」
「それが通ったのかえ」
「ええ、ぞろぞろと沢山の人がついて」
「じゃ、次郎もそれを見に行ったのかしら。この手紙を、飛脚屋へ頼もうと思うのだけれど」
「それなら何も、宿の者へおいいつけ遊ばせばようございましょうに」
「ところが、私は字が下手ですから、人様に見られるのが恥かしい」
「あんなこと」
「次郎を探しに行こうかしらね」
「二、三日の雨で、少しも外をおひろいになりませんでした。おりんもお供をいたしましょう」
身分のある武家の御息女らしく思われますが、固くるしい作法のとれた湯治場のこと、気軽に階下へ降りかけました。