Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「おい、待ッた」
釘勘が手をあげて、
「人違いをするな、おれたちは、通りかかった旅の者だ」
「どこだ! おいらのうちのお嬢様は」
「ウム、向うにいる、お女中をさがしているのか」
「えッ、いる?」
「待ちねえ、今、おれの連れが呼びに行ったから。だが、おめえ達は一体どこの者だね」
「おいらのことかい? お嬢様かい?」
「おめえも、あのお女中も」
「お嬢様は狛家の御息女。おいらあ、その高麗村の次郎ッてえんだ」
「ついぞ聞いたことのねえ所だが、高麗村というと、やはりこの伊豆の田方のうちなのかな」
「ばかをいッてら、おじさん。高麗村がこの伊豆なもんか。――武蔵の国北多摩の奥で、秩父と甲州の山を後ろに背負って、前には、この相模灘みたいな広い原ッぱを控えているんだぜ、そこに高麗の郷、高麗村という、おいら達の村があって、村の将軍様は狛家の御隠家といって、そりゃあ……」
次郎、そこまでは、問わず語りにお国自慢をしゃべりかけていましたが、ふと気がついて口をつぐんだ時、魚見小屋の方から来る、月江とおりんの姿を見たので、
「おっ、居た、居た!」
釘勘を置きッぱなしにして、そッちへ足を向けたかと思うと、次郎のいう、おいらのお嬢様なる人の求める腕へ、まるで、犬ころのように飛びついて行ったものです。