Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「オ、違ったかナ?」
と相良金吾は、わざと田舎者めかした菅笠を上げて見なおしたが、間違いはない、茶屋町の軒ならび、似よりの店もこの一軒よりほかにはありません。
だいぶ聞いた話とは違っている。――新助という若い男が店にいて、表面は手固い小間物店に変りないが、実は盗人の寝泊りする家で、私はそこで買物をしたが因果で、怖ろしい男に切通しまでツケられたのでございます。――という風に、あの切支丹屋敷の娘は、途々自分に話したが? ……
「それも嘘か。あの娘の言葉も信じきるわけにはゆかない」
と金吾は迷いました。
ままよ、どうせ田舎武士に作ってきた風体、かまうものか、といった調子で、かれはズカリとそこへ入って、
「物を聞きたい!」
わざと、ぶッきら棒に、
「新助という手代のいる店は当家か?」
あッけにとられたかみさんは、積みかけていた根掛けの桐箱を抱えたまま、
「いいえ……」
「では、年頃二十七、八、苦み走ッた五分さかやきの浪人者が、ここに寝泊りしているだろうな」
「……存じません、お門違いじゃございませんか」
「たしかに、茶屋町の四ツ目屋と聞いたが」
「あー、それでは、前の方でございましょう」