Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「……おれもばかな考えをしたものさ。それをお粂に買おうとして、忍川に家を持たせた。ところが、その家からも人情の芽は吹かない。――だが水性の女にそれは無理な注文、今思えば、あのお人よしの率八でも可愛がってやった方がよッぽどましであったものを……」

お粂は突き倒されたなり砂浜の上へうッ伏し、泣きじゃくッている様子でありましたが、日本左衛門のことばを聞いて今さら悪かったと悔悟しているものやら、または金吾との仲を裂かれて口惜しいと思っているのか、泣いている時の女の本心ばかりは神にも人にもわかりません。

「親分、勝手を申すようですが」

そこの空気がどうにもならなくなったので、気転をきかした四ツ目屋の新助が、

「まだ姐御とお話もございましょうし、ここに大勢で屯をしていちゃ人目にもかかりますから、あっしやほかの者は一足先に御免をこうむッて、小田原の城下でお待ち申しておりましょう」

「ウム……そうだな」

と、日本左衛門が考えているうちに、先生金右衛門もそれがいいと立ち上がって、一同サクサクと根府川の方へ立ち去りました。

ザブン、ザ、ザ、ザ、ザ……とあとはひとしお静かな波の諧音。