Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「へい、これはお役人様で」
と急に、ぞろぞろと上下座をしました。
一人の同心と脚絆手甲の捕手が、胡散くさい目を光らし、頻りと母屋の内を覗いておりましたが、
「後刻また、こういう者が立ち廻って来るやも知れぬ。その時はすぐ役所向きへ訴人いたすように、万一、縁故者が情にからんでかくまい立てすると同罪であるぞ」
一枚の人相書を渡して、先を急ぐように、またバラバラと引ッ返して行く。
「おや、この人相書の男は、見たことがある」
あとで、百姓神楽の連中がそれをひろげて、
「な、見たような男じゃないか」
「ほんとだ、これはよく似ている」
「だれに?」
「もとこの村にいたあの男さ」
「じゃあ村の者か」
「やはり、おれ達の、阿佐ヶ谷神楽の仲間で、しかも笛がうまかった。なんといッたッけなあ? ……おお、そうそう伊兵衛、伊兵衛」
「ああ、あのやくざ者か」
「ゲジゲジの伊兵衛に違いない。飛んでもないやつが立ち廻って来たもんだ」
「お役人様が触れを廻して来たところを見ると、あいつめ、諸所方々を食いつめて、また村へ舞い戻ってきたのかも知れないぞ」
「どうすべえ、やツが来たら」
「水をおンまけてやれ」
「止せ止せ、あとの祟が恐い」