Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
そしてそこの、奥まった一室に、わが馬春堂先生は、長い顎の突端を抑えて、毎日ぼんやり暮らしていました。
実に易者の身の上知らずとは、よくいッたものだと、熟自分でも感心している面持ちです。
かれは今、自分が幸福に恵まれているのか不幸に呪われているのかも分っていません。これから先はなお分らない。そして現在の存在も一向ハッキリしていません。ただ、分っているのは、
(おれは、生きていることは生きてるんだろうな)
という事だけです。
そこで目をパチパチさせて、庭を見たり、窓から首をのばして見たり、天井を眺めたり、床の間の幅に向ってみたり、たまたま見つけた天陽虫に頬杖をついて話しかけて見たくなったり……
すこぶる退屈の体たらくです。
逃げたいにも逃げられないこの家の構造、こうして生きているのも楽ではないが、折角助かった命を無駄にしてはならないのは、なおさらのこと。
(いったい、おれを、どうしてくれるつもりなんだい!)
怒鳴ってみたくなりましたが、そんな勇気もありません。
そこで馬春堂は、この狛家の一室にほうり込まれた当時から、退屈まぎれの後々のよすがにもと、半紙を四つ折に綴じて書きためた自分の日記をくりひろげて、