Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「あ……」

「つまり貴殿はその一人」

「ま、ま、待って下さい」

「もうここへ参った以上、泣いても喚いても無益でござる」

「……お助け下さい」

馬春堂は、にわかに立ったり、すわったりして嘆くが如く泣くが如く、わけの分らぬ事を叫んで、グルグル部屋の中を廻りはじめましたが、給仕の郷士ふたりは、素早く酒器や膳を下げて杉戸の口へ、例のとおりピンと錠をかけたきり、二度と姿を現しません。

馬春堂の桃源夢物語はさめました。もう日記どころではない、空想どころではない。頬杖ついて頤を長くしているどころの騒ぎじゃない。

何ぞ知らん、ここへ来てからの御馳走は、生き胆の精をつけるためであり、下へもおかぬもてなしは、胆薬の材料とする自分をして、いい気持に油断させておく方法でありましょうとは。

「もう間がないといったぞ、もう二、三日のうちだといったぞ。ちぇッ……一体どうしたらいいんだ、この馬春堂」

さんざんもがき疲れた末に、どっかりと腰を折って坐りこみましたが、ふしぎに涙も出てきません。

すると、たった一つの明り取りの窓から、ひょいと、見なれぬ者が眼だけ見せて、

「馬春堂」

と、小声で呼んでは首を引ッ込め、またしばらくすると、