Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
で抜け出したまま、遂に、その行方も死所もわからずになってしまった」
「それが、夜光の短刀の持主でございましたな」
「そうじゃ」
「その時、彼がその短刀を持っていたのは、事実でございますか」
「わしが伝え聞いているところによると、ピオは、自分の命をとられるよりも、その短刀が人の手に渡ることを怖れて終生逃げ廻っていたらしい。だから、後世になればなる程、その所在が分らぬはずじゃ」
「それをまた、御当家の方が、幾代となく探しておいでになるには何かそこに、深い理由がございましょうな」
「ある! それはピオとの約束じゃ。――ピオは当家の祖先の者へ、ある年限を過ぎさえすれば、羅馬の国も自分たち王族の天下になるから、その頃になったら夜光の短刀を羅馬王庁へ送ってくれと頼み、またこッちもそれを誓ってやった」
「不覚でござるな。それくらいならば、夜光の短刀を御当家へ預けてゆくなり、また何か、かくし場所に目印をしておけば、こんな苦労もない訳でございます」
「それ程大切がっていた品ゆえ、生ける間は、手放すことが出来なかったのは異国人として無理の無い気持じゃろう。……ところが、まことに偶然なわけで、わしが月江の短命を苦にして、その薬法を究めるため、先頃、また気まぐれに書庫をかき廻していると、そのピオが当家に残して行った手廻りの品が見つかった」