Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
おや?
と見廻すと釘勘は、ツイと湿っぽい土塀露地へ飛びこんでいる。俗に椎寺というその横丁から寺の門内をのぞいていると、待っていたように、ひとりの男が石井戸のかげからおどり出して、釘勘の耳に口をよせる。
要所に、手配を伏せておく、かれが組子の岡ッ引ということは、うしろで見ている金吾の目にも分りましたが、
「ム……そうか」
と何かうなずいて、囁き合うと、金吾をさし招いて釘勘はまたすぐにその横丁を走り出して、河岸ぷちへ出てゆく様子。
「どこへ行くのだろうか?」
金吾は一歩ごとに不審を増して後から続くと、今戸橋から北に寄ったそこは隅田川の三角洲、川口から向う河岸には三囲りの土手を見、すぐ右側には真土山の聖天、森と木の間の石段が高く仰がれる麓であります。
この辺に多い今戸焼の陶物を焼く家、かやぶき屋根の壁の下に、雑多なかたちの素土が干してならべてある。土間に藁ござを敷いて、轆轤をかけているおやじを見かけると、釘勘はまたそこへ這入って、
「おやじ、市へ来たんだが、合図を頼むぜ」
と、声をかける。
「ふたりだね」
と、焼物師は、轆轤を離れて、土間のうしろの戸を押しました。