Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「お酌いたします、お過ごしなさいませ」

と、武骨につき出す。

「へ……へい」

「無礼講じゃ」

と、御隠家様のお声がかかる。

「無礼講だそうですよ」

と、次郎がことばの取次をしていう。

「では……」と、それから始まって、神楽師も飲む、郷士たちも飲む、久米之丞も飲む。

御隠家様の千蛾老も、今夜はだいぶ過ごされている様子。

「どうじゃ月江、熱海もよかろうが、自分の家もよいであろうが」

月江は何か浮かない顔色で、

「お祖父様、私はほんとに病気があるのでしょうか」

「何をいう」

「だって……」

「ばかな事を。お前のような、艶々した顔色の者がなんで……は、は、は」

陶然と、今度は、反対な方を向いて、

「久米之丞。酌」

と、杯を重ねます。

その間に老人の目が、チラと何か意味あるようにうごきますと、久米之丞は辺りのザワめきに紛れて、そッと席から姿を消して行く。

それをまた、強いて紛らわそうとするものの如く、千蛾老人は頻りと自分から賑やかになって、

「おお、それよ、阿佐ヶ谷村の者達。ただ騒然と飲んでおッても面白うない。何かさかなをせい」

「へい」

と、連中一度に返辞をして、

「なんぞ、御所望が?」