Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
ました。
人を使うことで、思いあたる話は、呉子が武候に与えた兵法の虎の巻にある一項で、
「ソレ兵法ノ神髄ハ兵ヲシテ死ヲ楽シマシムルニアリ」
といったことば。
なるほど、自分から死を楽しんでバタバタ死にたくなるほど上手に人間を使いこなせば、これ以上の兵法はありますまい。軍学者とはまことに怖ろしい哲学を編出すもので、そんな悪い智慧を武侯にさずけた呉子にはこういう挿話さえある。
呉起が秦を討ち五城を抜かんとして出征した陣中での事。
士卒のなかに、疽というきたない腫物を病む者がありましたのを、陣を見廻って来た呉子が見て、口をつけて腫物を吸ってやった。すると、故郷の母がその便りを聞いて、声をあげてオイオイと泣きました。
人あり、卒の母をなだめて、
「あなたの息子さんは仕合せ者じゃないか、呉起将軍が口をつけて疽を吸って下すったとは、なんと大した光栄だろう、それをお前さんは、なんでそんなに悲しみますか」
卒の母、泣きながら答えますには、
「昔、呉王もあれの父の疽を吸いました。案の定、良人は呉王のために討死して家へ帰って来ませんでした。今また、たッた一人の息子の疽を吸われましては、この老婆が、たれに死に水を取ってもらいましょうか」