Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

「御隠家様のお屋敷に奉公していた、次郎という者だけれど、おじさんは?」

「わしか……」と、口をにごしながら万太郎は、これはいい者に出会ったと喜んで、

「わしは徳川万太郎という者だが、そちがあの屋敷の召使いとあらば、さだめし様子も知っておるであろう」

と、目白の石神堂から郷士たちの持ち去ッた仮面箱のことをききほじると、次郎は意外な顔つきをして、

「ああ、おじさん、それじゃ高麗村へ行っても無駄足だよ」

と、両手を頬に当ててガックリとうなだれました。

次郎の答えに、何かつつまれている事情があるらしく思えたので、万太郎も少し色をなして、

「えっ、では洞白の鬼女の仮面は、狛家にもないと申すのか」

「この間までは、確かに御隠家のお屋敷にあったんだけれど、今では、どこへ行ったか分らない」

「嘘であろう、偽りであろう。あれほどな名品を一度でも手にした狛家の者が、滅多に人手に渡すはずはない」

「嘘じゃない……ほんとだ。……ほんとだからこそ、おいらはここで泣いている」

「洞白の仮面ゆえに、お前はここで泣いていたのか」

「ああ……おいらは狛家へ帰りたい。お嬢様のそばへ行きたい。だけれど、あの仮面を人に奪られたまま、手ぶらで帰ったら御隠家様がどんなにお怒り遊ばすか……それを思うと高麗村へも帰れない」