Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

だのに、怖いもの知らずの若殿は、そういう異変の予報をうけた翌日、しかも逢う魔が時という夕暮をことさらに選んで、

「べつに用もないのじゃが、退屈しのぎに、ちょッと染屋の観音まで歩いて行ってみる。帰りは遅くなるかも知れぬし、あしたの朝になるかもわからぬが、心配しないでくれるように」

こういって、鍛冶小屋を出たものです。

そして女影の迷路を四、五丁来たかと思いますと、

「お武家さーん。お武家さアーン」

と、うしろから宙を飛んで来るものがある。

たれかと思うと高麗村の次郎で、振顧った編笠の下へ駆け寄って来ると、

「おじさん、おいらも一緒に行こう」

心得顔で万太郎の先に立ち、杖のような物を横に持って歩き出しました。

その杖の先ッぽが、キラキラ光るふうなので、よく見ますと、鍛冶小屋の隅から持ち出してでも来たか、野獣を追う時に農家の者がよく使う、胆刺と呼ぶ野槍であります。

雲霧組

次郎の次郎たる値打ちをまだ深く知っていない万太郎は、彼が物騒な野槍などを引ッさげて尾いて来たのに迷惑して、

「あ、これ。そちは何処へ行こうとするのか」

わざと訊ねますと、次郎は、

「何処へでも、おじさんの行くところへ」