Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「貸してくれ?」
「え、それを持って、御隠家様に事情を話せば、きッと許してくれるに違いありません。そして仮面は尾州家とやらへ、必ずお返しいたします」
万太郎はこの辺のことばから、この童子の奇なることに気がつきました。彼がいうとおり、一日でも仮面を貸してやれば、彼の面目も立ち狛家への申し訳もすむというもの。
だが果たして自分の推察どおり、噂の通り魔が仮面を持つその女であってくれればいいが……。
いつかどッぷりと日が暮れる。
行けども行けども果てしのない同じ野道。次郎と話しながら歩いて来るうちに、万太郎には行く手の方角も、過ぎて来た方角も、さらに分らなくなってくる。
女影の迷路をめぐり歩いて、十方何ものも見ぬ武蔵野の真ッただ中に立ちますと、何かしら、あまりに雲をつかむような探しものに来たような心細さがないでもない。
「おじさん、少しこの辺で休もうか」
「うむ」
「ここに石がありますよ。ここへおかけなさい」
次郎は青すすきの叢にどっかりと埋まり込んで、野槍を肩に立てました。
すると、この二人よりは半丁ほど離れて、絶えず見えがくれに尾いて来た五、六人の人影が、それと見ると、送り狼のように立ち止まって、何かヒソヒソとささやいている。