Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
これから先だって、一人で帰るのは物騒だよ」
「あっ……」
やがて、身を吹く風を覚えると、次郎は万太郎の身の上を思い出して、足元の野槍を拾い取るや否、この一同を指揮するように手を挙げて、
「みんな、探しておくれよ! 探して! おいらのほかにもう一人連れが居たんだ、その連れが生きたか死んだか分らない」
血眼になって駆け出すと、
「えっ、まだ居たのか」
と驚いた人々が、提灯を振り廻しつつ、さながら、次郎の手足の如くになって彼方此方を探しはじめました。
そのうちに、遠からぬところで、一人が何か頓狂な声で叫ぶと、期せずして、この一団がそこへ移って行きました。
見つかったのは朱にまみれた万太郎の姿。
斬られています。
左腕にかすり傷、肩に突き傷、ほかにもあるらしいが何しろ衣服も血みどろで裸体にしてみなければ判明しない。
「息を見ろ、息をよ」
と、だれか罵るようにいう。
「息はある」
抱き起した者がうしろへ叫ぶ。
「それじゃ捨てても置けないから、何処か医者の所へ」
「医者といったッて、この原じゃあ……」
「血止めだけして、乗せてゆくのよ」
「川越の城下までもつかしら」
「もたなかッたら、それまでの寿命とあきらめてもらうより仕様がない」