Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
――独楽がもし人間だったら、お粂が心できいてる問いに、そも馴れそめのいきさつを、右の如く答えたでしょう。
一夜づくりの曲独楽の太夫が、とにかく明日から見物にお目見得というので、永らくシケを食って粉煙草にさえ渇いていた一座の者ども、さあ、これで一つ大入りを取ってと、にわかに元気づいてのテンテコ舞い、浅ましいほど働きます。
どうやら生業にありついている間は、遊びたいが一願の人間も、いったん生活の干潟にほし上がって永い遊びがつづき出すと、彼自身は寝て暮らす根気があっても、旺盛な胃液がやたらに溶かすものを求めて、遂には、仕事がしたい仕事がしたいと、寝言にまでいいだしてくる。
そんな、あんばいで。
岩井染之助の看板を嵐粂吉一座と塗りかえて浮かび上がった連中の顔つきを見ると、お粂も悪い気持はしません。
そこへ衣裳屋の使いが来て、
「太夫さん、これでお気に召しましょうか」
と、風呂敷をひろげました。
縫い上がって来たのを見ると、けばけばしい、小袖と、その上になる裃に袴は、おあつらえの浅黄繻子に金糸の縫い紋です。
「何しろ急ぎましたので。はい。今もこちらの太夫元が来て、すぐお目にかけておけというので、まだすッかり上がっておりませんが、ちょっと持ってまいりました」