Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「オ。河豚か」
「は」
「ちと退屈したによって、ぶらぶら城下を見物して来たいと思う」
「主人権太夫こと、公用多繁のため、一向おかまいも申し上げず、重々相済まぬ儀と、蔭ながら恐縮いたしております」
「そんな事はどうでもいい。何分居候の身で出かけたいにも履き物がない、笠がない。それに小遣銭の持ち合わせもない」
「恐れ入ッてござります」
「それを調えて欲しいのじゃ、すぐにな」
「は」
「早くしてくれ。次郎、一緒に来い」
ずかずかと玄関へ出て行きましたから、河豚は狼狽して笠や履き物の支度をしましたが、困ったのは、万太郎がもう一つ無いものに数えた小遣銭のことであります。
御三家の若殿などというものが、小遣銭などを持つものか、持つとしたら幾らふところに入れているものか、その辺の見当もっかず、まさかおいくら要るのですかとも聞き難い。
まごまごしている間に、万太郎はもう式台から降りていて、癇癪をおこし、
「河豚、早うしてくれ」
「はっ……」と、いよいよ当惑したらしく、窮余の一策、自分もあわただしく支度をして、
「手前もお供仕りましょう。主人に代って、御城下を御案内いたしまする」
先に立って門前を出かけると、そこへ、一群の駕と人とが寄って来ました。