Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
求める品は手に返った、かれにも何か捕手との連絡があるだろうと、一瞬はそう自分の都合のよいように考えて金吾は足をためらわせましたが、その時また、息も苦しげに、ピピピピと奥の方で断続する釘勘の呼子を聞いてまたゾッと身をすくませると、怒り立った一方の罵りが、
「簀巻にしろッ」
「たたッ殺せ」
「大川へ蹴込んでしまえ」
「うぬ」
「ふてえ奴だ」
いかに残酷な土足にかけているかを想像させてひびいて来ます。
胸に抱えた洞白の面箱を、竹蔵の竹のかげへかくし込んだ金吾。
遂に見すてては行かれないかれの本性は燃えあがる。
来の了戒とはいうが無銘で、まだ自身には血を試みたことのない一刀の柄を打つと、豹身、くるりッと返って、ふたたび暗黒の口をのぞんでおりました。
かれが身をめぐらして引ッ返したのは一瞬でありましたが、元の場所へ馳け戻ってみると、こはいかに、洞窟の奥には、一点の蝋の灯の明りも今の喧騒もハタとなく、またあれだけ居た盗ッ人市の集まりが一人として見当りもせず、心なし、そこに有りやと窺われるものは、漆壺をのぞくに似た陰たる鬼気のただよいであります。
「やっ? ……」
ですが――かえって疑心暗鬼は金吾をして、そこに兇猛な影が群れをなし刃を植えて待たれるよりも、なおなおウカツに足のすすめない気がまえを慥と持たせて、