Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

こんな意味も連絡もない端的な文字が、墨色もその時さまざまに記し散らしてあります。

「あっ、しまッた事を……」

「なぜ?」

と、金右衛門は不思議な顔でした。

「あいつを生かして置けば、何か手懸りがあったに違いないものを、こりゃ少し逸まったぜ」

と、日本左衛門は、その書き散らしの懐紙を紙入れのなかに畳み込んで、

「そうだ、せめて月江という女をこの谷底に探してみよう。事によったら、助かっていまいものでもない」

先に立って、谷間へ下る道をたずね、わずかに猟師の通うらしい一筋の道を見つけ、岩藤の根を足がかりに、絶壁を下へ降りて行く……。

昨夜以来、日本左衛門がそっと久米之丞を尾け歩いているうち、それとも知らぬ彼が月江に向って夜光の短刀ということばをしばしば口に出したので、にわかに殺意を起こして兇行を決したのですが彼の手記ともいうべき反古の文字を読むと、その短刀の捜索には、かえって自分達よりも何か深い真相をつかんでいたらしく想像される。

で――生かして置くのに――とあとで後悔をしたわけでありますが、この上は、一方の月江を探してたずねたら、また何かそれについていい手懸りがないとも限らぬ。