Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
最初の油断をのぞいても、まだ幾分か見縊った考えを残していた金右衛門は、ここに初めて本気にならざるを得なくなりました。所詮、無手でこれをあしらっていたひには、このチビより先に自分の方が疲れてしまう。
「ええ、面倒だ」
さっと、飛び退いた金右衛門が、豹のごとく身を屈したのは、向うみずな次郎が飛びこんでくるところを、抜いて、その諸足を払わんとした用意にちがいありません。
おっと、待った。
次郎もその一歩はあぶないと考えたので、グッと股を割るように踏ん張って、野槍の穂先を低目にかまえながら、まず二、三寸ずつジリジリと足の拇指に土を噛ませてつめ寄って行きますと、突然、うッと異様な声をあげた相手がその巨大な図ウ体をみずから大地へ倒していました。
突然、金右衛門をそこへ倒したのは一条の捕繩です。
彼が次郎の野槍に対して全能をあつめた途端に、何処からか飛んできた丈余の捕繩が、その片足を巻いて力いッぱいに引っ込んだものです。
構えをとらぬ敵に会ってはどんな者もたまりますまい。金右衛門は仰向けに倒れました。しかし、彼の大刀はさすがにその捕繩を断って、盲目的に駆け出していました。