Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

そのドサクサの最中に、

「たのむ!」

と格子の外に立った白衣白杖の行人相良金吾。

「たのむ」

と外の声の二度目であります。

「オヤ、たれか門口へ」

お粂が目まぜをして、今の騒ぎに落着かない女たちの口を黙らせたものですから、場合が場合なので急にシンとして、なかの一人が上がり端へ出て見ますと、予期に反して、御岳ごもりの行乞か、石尊詣りの旅人らしい風体のものが格子の外に立っている。

「ちッ、人をばかにしているよ」

弟子の女は、舌打ちをもらして、用もきかずに奥へ帰って来た。

「太夫さん、お客様じゃないンですよ」

「物乞いかえ」

「ええ、御岳詣り」

なんのこった――と腹も立てないし、笑ってもいられない。

すると、前よりは鋭く、

「今の取次はどうしたのか。ここは嵐粂吉の宿ではないのか」

格子をあらく開けた音、そして、その語調のただ事でない様子に、弟子の女たちはまたハッと顔色を失いかける。

――でなくてさえ、ムシャクシャしていたお粂ですから、小うるさい物乞いと腹立ちまぎれに、

「いいよ、こんどは私が出て追い払ってやるから」

何気なく、上がり口の部屋へ立って来ました。

そして何の予感もなしに、そこへ立った金吾の姿を見ましたから、彼女の驚愕は一倍で、