Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

簾の上の風鈴が、今しがたまで、ウンスン遊びの連中に濁されていた部屋の空気を払って、涼しいそよ風に入れかえております。

若い女が、よろこび弾むような足音が梯子段に聞こえたかと思いますと、

「待ったでしょう、相良さん」

朱塗りのたばこ盆と、冷やし麦と。

それをすすめて、

「さ、楽に坐ってくださいな。旅先の仮屋にしろ、これでもお粂の家ですから、あなたの家も同じじゃありませんか――そんなに四角張らないで」

そばへ坐ると、お粂はあでやかに笑いました。

夢にも忘れていない男の不意なおとずれに、小娘のような嬉しさがかくされない。

その証拠には、あんなせわしい間に、いつのまにか顔を化粧って、大がらな浴衣に小柳の帯を千鳥に結んでいますが、それは門に出た時の乱れたものではありません。

そして、ジッと暝目したきりの金吾の横顔へ、白粉のにおいのする団扇の風をやわやわと送っている……。

とうとうこの人は私が忘れられないで私のそばへ帰って来た。

女の笑くぼの裏には独り合点な誇りがみえます。

が、金吾は、

「今日ここへ参ったのはほかでもなく、改めてそちに頼みがあるのだが」

依然とひざもくずさずに、