Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme

Aozora Bunko

ところへ、門口で、あつらえた駕屋の来た気配がする。

はッと、われに返ったように、お粂はそこを出て来ました。

乗るとすぐに、

「柳町ですね」

「あ、いつもの小屋へ」

駕屋は心得て、その方角へ息杖を上げます。

折から、町にも灯がはいって、洗い上げたような夕方の人通りを、駕屋の足も軽そうに。

*   *   *

そのあとの事。

お粂が戸じまりをして出て行った留守の家を裏口から、のぞき込んでいた男がある。

鉄砲ざるを背中に掛けたひとりの屑屋。

うさんくさい目つきをして、勝手の外へ、ざるを下ろしたかと思うと、水口の戸へ手をかけて、コトンと、変な音をさせます。

こいつ、空巣ねらいかと見ていますと、四つン這いになって、奥の部屋をのぞきこんだのみで、一物も手にふれず、何かひとりで頷きますと、元の通りに戸を立てて、裏通りから鍋屋小路へ、いやにあわてた足どりで馳け出してゆく。

暗やみ飛脚

玉蜀黍の焦げるにおい、いり豆、味噌おでん、焼きするめの食慾。

見渡すかぎりをよく食べています。

それに、もうもうとこめる煙草の煙や、酒の香や、女の髪あぶらの蒸れるのや、雑音雑臭の交響。