Japanische Klassiker mit Furigana
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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
Lesen Sie 江戸三国志 (えどさんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 577.271 Zeichen · 1141 Bildschirme
「ちッ!」
いやというほど、その男の頬をはりつけて、さらに一人の胸いたを突いて飛ばす。
「やったな」
「それ、半殺しにしてしまえ」
元より、その計画でやって来た手合ですから、かかるとなると気がそろッている。
襟がみをつかむ、腕をねじあげる、そして、蹴る、蹴倒す、ふみつける。
四方、蓆で囲ってある上に、人ッ子ひとり居ない掛小屋の中ですから、止めてもなければ、人立ちもせず、こういう仕返しをやるには存分な場所です。
「さ、殺すなら殺しておくれ。殺せ。殺せ」
「おお、殺してやる」
「ただの女芸人と思っているのかい。これでも江戸では、丹頂のお粂といわれた姐御だよ。さあ、立派に殺してもらいましょう」
「おれたちも文身庄の身内だ、鶴だか丹頂だか知らねえが、興行元から頼まれて、前貸も取れねえじゃ引退がるわけにはいかねえ。のぞみどおり殺してやるから、泣き声をあげるなよ」
五、六本の長脇差が、一時にぎらぎらと取り巻いて、お粂のからだを針差のように突いてしまうかと見えました。
その時です。
どこに居てこの様子を見ていたのか、そこへ飛んで来た一人の旅装いの男が、
「皆さん、つまらないじゃございませんか」